AI画像で「クーポン・チケット」を作ると失敗する?ミシン目と連番の罠
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猪飼 裕二 プロのDTPデザイナー「Geminiを使って、カフェの周年に配る『ドリンク1杯無料クーポン(チケット)』のデザインができた!」 「映画のチケットみたいにおしゃれ!このまま印刷会社に注文しよう!」
飲食店やサロン、イベントにおいて、紙のクーポン券や入場チケットは、お客様の来店を促す非常に効果的なツールです。AIを使えば、目を引くリッチなデザインを簡単に作ることができます。
しかし、AIが生成したチケットの画像をそのまま印刷会社(ラクスル等)のテンプレートに貼り付けて入稿すると、「切り取り線でお店のロゴが真っ二つに破れてしまった」「ナンバリング(連番)の数字が人物の顔の上に被って読めない」といった、DTP特有の致命的な失敗を招くことが多々あります。
今回は、AI画像を「チケット・クーポン」として印刷する際に必ず知っておくべき、物理的な加工ルールの壁について解説します。
チケット特有の「ミシン目(切り取り線)」の罠

クーポン券や入場チケットの最大の機能は、「もぎる(手で切り取る)ことができる」という点です。 そのため、印刷時には紙に「ミシン目(切り取り線加工)」を入れることになります。
画像生成AIは「1枚の美しい絵」を描くことしか考えていないため、後から物理的な「ミシン目(切り取り線)」が入ることを計算していません。
AIの画像をそのまま使ってしまうと、ちょうどミシン目が入る場所に「有効期限」や「お店のロゴ」が配置されてしまい、お客様がクーポンを切り取った瞬間に重要な情報が破れて読めなくなってしまうのです。
「ナンバリング(連番)」のスペース確保も必須
イベントの入場チケットや抽選券の場合、印刷オプションで「001、002…」というように、1枚ずつ異なる数字を印字する「ナンバリング加工」を利用することが多いです。
このナンバリングの数字を印字するためには、デザインの隅に「何も描かれていない白い余白(例:横30mm × 縦10mmなど)」を意図的に空けておく必要があります。 AIの画像は画面の隅々までグラデーションや模様を描き込んでしまうため、そのままナンバリングを重ねて印字すると、背景の絵柄と数字が同化してしまい、暗い場所では全く見えなくなってしまいます。
プロが行う「チケット用のDTP割付」
AIの美しいデザインを活かしつつ、実用的な「もぎれるチケット」を作るためには、プロのデザイナーによる緻密なレイアウト設計(DTP割付)が不可欠です。
1. ミシン目を計算した「セーフエリア」の確保
印刷会社のテンプレートを読み込み、「ミシン目が入る位置(端から〇〇mm)」を正確に把握します。 ミシン目の上には絶対に文字を置かず、またミシン目から左右に3mmほどの「安全圏(セーフエリア)」を設け、そこを避けてAI画像の要素やテキストを再配置します。
2. 「半券」と「本体」のレイアウト分離
切り取った後に手元に残る「半券」側と、お店に渡す「本体」側の両方に、それぞれ「何のクーポンなのか」「いつまで有効なのか」という必要な情報が残るように、文字情報を見やすく整理して打ち直します。
3. 加工用オプションデータの作成
ナンバリング用の白枠を作ったり、ミシン目の位置を印刷会社に伝えるための「指示用データ(加工用パス)」をIllustratorで別途作成し、デザインデータと合わせて入稿します。
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